羽田都心上空経路に伴う関宿空域に関して

関宿の活動も徐々に再開され始め、南風の午後の時間帯に、関宿の南側を飛行する旅客機をご覧になり、ずいぶん近くて低いなぁと感じた方も多いのではないでしょうか。先日flightradarで確認したところ野田橋付近を5,500ft程でB737が飛行していました(図1)

なぜこんな所を旅客機が飛ぶのでしょうか。以下解説させていただきます。

【図1】

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2020年3月、オリンピック開催に向け羽田空港を離発着させる航空機を増やすため、都心上空を飛行するルートが設定され、特別管制区(PCA:Positive Control Area)が羽田の北北西側に設定されました。(図2 赤く塗った部分)

また到着経路も関宿の南側に設定されました。(図2 赤い点線)

経路上のNIGELは関宿VORから約5nm(9km)、NATTYは8nm(14km)で、それぞれ6000ft、5000ftで飛行機が通過します。

KASGAは関宿から6nm(11km)は以前からあったポイントで、ゴーアラウンドした飛行機が4000ftでホールディングすることがあります。

この経路は騒音問題等もあり、南風の午後3時から午後7時までの間の3時間とされており、実際は午後3時から6時まで運用されるのが通常です。

【図2】

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上記に伴い関宿空域の上限も変更されました。

「南風で羽田空港がRWY16を使用している場合で15時以降は芽吹大橋と清水公園駅を結ぶ線(延長線も含む)より南側では4000ft(1200m)を上限とし」(図3 Bの部分)
「その他の関宿9km圏内では6000fto(1800m)を超えて飛行してはならない。」
「エアーライン機は必ずしもSTARのコース上を飛行するわけではなく、時にレーダーベクターで関宿の空域に侵入してくる可能性もあり、常に見張り(OUTSIDE WATCH)を怠らない事。」NPO関宿滑空場運航規定
と定められています。
【図3】

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という事で、羽田空港の航空交通量の増化に伴い、関宿近辺に新しい経路が設定され、関宿南側に近くて低い旅客機を見かけるようになったのです。航空交通の情報も意識しつつ、安全で楽しいフライトの参考になれば幸いです。